新しく家を買おうと思うとき、無視出来ない点として金額が挙げられます。
どの価格帯の住宅を購入するかの目安を付ける際、ご自身やご家族の年収をもとに考える方は少なくありません。
ところが、実際は年収だけで購入できる住宅を割り出すことは難しいです。
というのは、住宅の金額がかなり高額であり、基本的にはローンを組んで支払う。という仕組みが関係します。
住宅ローンを組むには金融機関の審査に通過する必要があります。
有名な住宅ローンとしては、金融機関と住宅金融支援機構が提携して打ち出している「フラット35」などが挙げられるでしょう。
住宅ローンで審査される属性と信用情報とは?
住宅ローンに限らず、ローンというのは年収だけで借入限度額や融資の有無を審査するわけではありません。
ローン審査は年収も含めて、融資を受ける方の年齢や職業、勤続年数、他のローン状況などを複合的に評価する仕組みとなっています。
特に、住宅ローンやカーローンのように借入額が高額になる場合は、単純な年収だけでなく上述した年齢や職業といった属性が良い方が、審査が通りやすいといえるでしょう。
また、基本的に他のローンは組んでいたとしても、返済遅延や滞納がない事が大前提です。
いわゆる、信用情報(クレジットヒストリー)がきれいな状態である事も年収と同じ、またはそれ以上に重要となっています。
その為、基本的には「年収がいくらあれば何千万円台の住宅が購入できる」とは、一概に断定することが出来ないことを予めご理解いただけると幸いです。
とはいっても、目安ぐらいは知りたい!という思いでこちらの記事にお目通しいただいている方もあると思うので、大体これくらい。という情報も記載しておこうと思います。
ただし、目安の年収をクリアしていれば、マイホームの購入に間違いがない。というわけではない点はくれぐれもご承知ください。
2022年時点での住宅ローン利用者では、年収が400万円超~600万円以下と600万円超~800万円以下の割合が全体の5~6割を占めています。
参考:住宅金融支援機構 住宅ローン利用者の実態調査
つまり、目安としては最低年収400万円ほどあれば住宅購入できる可能性があるといえるでしょう。
では、年収400万円ほどの場合いくらの住宅が買えそうか?というと、こちらもあくまで目安ですが、2,000万円くらいまでの価格であれば購入できる可能性があります。
住宅ローンは夫婦で契約することも可能
ちなみに、住宅ローンは借入額が大きくなることもあり、通常のローンのように契約者本人だけで借入をしない場合もあります。
大きくは、夫婦それぞれの収入に合わせた限度のローンを別々で契約するペアローンと、夫婦の収入を合算して算出した限度額でローン契約をする収入合算の二つがあります。
収入合算の場合は、連帯債務にするか連帯保証人にするかを選ぶことが可能です。
住宅購入に必要な費用の内訳は?
実際に家を購入する際に必要な費用は、購入する物件の価格だけではありません。
住宅ローン融資額(家自体の価格+金利)と頭金に加え、諸費用が必要費用の総額となります。
基本的には、まず頭金を自己資金や親からの援助で現金で払い、残りを住宅ローンで購入する流れです。
頭金は大体購入額の1、2割が平均的な金額になりますが、頭金を多めに支払っておくとその後の返済額は抑えられます。
現在の収入や貯金に余裕がある場合は、多少多く払っておくのが良いでしょう。
ローンの返済期間が長いと、その分支払う利息が増えるので、返済期間を少しでも短くするためにも先に払っておくのがおすすめです。
ちなみに、返済にかかる利息はローンを組んだ金融機関の利益なので、設計事務所の取り分になることはありません。
また、頭金が多いほど設計事務所やハウスメーカー、工務店が儲かるというわけではないです。
あくまでお客様がなるべく損をしないように、ここではそのように述べました。
諸費用については、一戸建てでは購入価格の6~9%ほどの金額がかかります。
諸費用ってそもそもなんのお金なのか?というと、簡潔にまとめると下記のとおりです。
諸費用の内訳
- 印紙税
- 不動産取得税
- 登録免許税
- 固定資産税清算金
- 都市計画税清算金
- 仲介手数料
- 司法書士への報酬(登記手続き)
マンションの場合は上記に加えて、修繕積立基金の費用がありますが、一戸建ては必須ではありません。
愛知県の新築分譲一戸建ての相場価格は?
新築の一戸建て分譲住宅の価格は、家の造りは勿論、立地などでも変わってきます。
BERITAは名古屋の設計事務所なので、ここでは愛知県内の住宅相場を例にあげていきます。
愛知県の場合、中心地となる名古屋市内は他の市と比較して、やはり価格が上がります。
また、名古屋市内でも区によって相場の上限価格が違ってきます。
ただし、市内まで絞ると相場の下限価格については大体3000~4000万円と目安が付けることが可能です。
上限価格についても、市や区ごとでバラつきがありますが大体8000万~1億円前後が最高価格の平均といえるでしょう。
住宅の費用を抑えようと思う場合は、シンプルな構造にし内装設備のグレードを下げるのが、一般的なコスト調整の仕方です。
年収や住宅価格よりも返済額がポイント!
住宅ローンを組んだ後は、支払としての返済が必要となってきます。
購入する住宅の価格に目安を付ける場合、都度の返済額と返済期間から逆算した方が建設的といえます。
現在の月収がいくらで、ひと月の大体の出費がいくらか、それから何歳まで働くか。という事をまず頭に浮かべてください。
お子さんがいる場合は、教育費も念頭に置きましょう。
その後で、毎月住宅ローンの返済がいくらまでなら収支に無理がないか、何年で完済ができるのか。をネット上のシミュレーターなどで実際の金額として算出します。
すると、ご自身や家族の収支にあった住宅価格のゾーンが具体的に見えてくるでしょう。
ひとえに、年収いくらで何円の家が買える。というような情報を鵜呑みにするのではなく、実際問題として数値化する事をおすすめします。
一般的な年間の返済額は年収の25%といわれていますが、年収が同じ人でも支出が違う場合は往々にしてありますから、平均値と実際の収支がかけ離れていないかの計算は最低限必要といえるでしょう。
スーパーホワイトのクレヒスに注意
信用情報の観点から住宅ローン審査についてもう少し述べると、年齢が50歳以上で今までクレジットカードもローンも利用したことが無い場合に審査通過が厳しくなることがあります。
信用情報に何も履歴がない状態をスーパーホワイトと金融業界隈ではいいます。
本来、何も履歴がないという事は、現金払いで収支が回っている。という判断が可能です。ところが、実は自己破産をした方も全く信用情報がまっさらな状態になります。
すると、審査機関では信用情報からみて、本当のスーパーホワイトなのか破産した後の状態なのか区別がつきません。
その際に他の属性を判断基準にするわけですが、そこで年齢が着目されます。
例えば、社会人になって間もないだろう年齢で履歴がないのであれば、スーパーホワイトとみなされることが多いです。
逆に、どうしても40~50歳以上でクレジットカードの一つも履歴がないとなると、自己破産の疑いが懸念されます。
というのは、自己破産をすると返済不能になったローンなどが精算される代わりに、その後7~10年ほどは信用情報に破産したことが分かる記録が残るので、その間クレジットカードを作ったり、ローンを組むことが全くできなくなります。
加えて、信用情報の履歴は最長で10年残るので、大体10年を過ぎると破産の喪明けとなるのですが、同じく信用履歴に何もない状態となってしまうのです。
さらに厄介なのは、信用情報は昨日今日で作ることが出来ないので、ホワイト過ぎて審査に通らない場合すぐの対策が出来ません。
高額の住宅購入をローンで検討されている方の中には、中高年の方で今まで債務などとは無縁で現金運転してきたという方も偶にいます。
そういった場合に、なぜか年収も十分なのに住宅ローンを組めない!となった際はここまで述べた仕組みが原因になっている可能性があります。
購入を検討する住宅の価格帯は、年収だけでは厳密には決められません。
必要な費用を前もってわかる範囲でハウスメーカーなどに算出してもらったり、住宅ローン契約後の毎月の返済額と収支のバランスで判断をした方が建設的といえます。
住宅ローンや諸費用については、購入する家を扱っている業者の営業が知っている場合もあれば、ローンを取り扱っている金融機関に問い合わせることで詳しく知ることが出来ます。
マイホームは夢のある話ですが、現実的な面で検討する事も大事といえるでしょう。